母体保護法制定までの経緯 (詳細)


      母体保護法までの経緯 詳細


 昭和11年11月の日独防共協定や昭和15年9月の日独伊三国同盟などの関係で、ドイツとの関係が密接になって行った。ドイツのヒットラー総統が進めるゲルマン民族優生保持を目的とした対ユダヤ政策(ユダヤの血の排除)に呼応し、日本では優秀な日本民族を後世に残す事を目的として
悪質な遺伝を根絶させるため、悪質遺伝の対象者に対して優性手術(不妊手術、人工中絶手術)を施す「国民優生法」を制定した。

 

1.「国民優生法」 昭和15年制定、昭和16年7月施行

 

 「日本国民の中の悪質な遺伝性の疾患の素質を有する者の増加を防遏(ぼうあつ:ふせぎとめる)し、健全なる素質を有する者の増加を図り、以って国民素質の向上を期する事を目的とす」と法律の目的を記してある。

 

 ・国民優生法施行令第681号 ・・ 施行日の指定

 ・国民優生法施行規則     ・・ 優生手術対象の遺伝性疾患の種類を明示

 

[優生手術]

 優生手術(不妊手術、人口妊娠中絶)を実施するには、厳重なる手続きの下で行われる。

 ・悪質なる遺伝性疾患を有する者に対し、

 ・精神病院の長、保健所の長、法定の医師の何れかが、

 ・本人と配偶者(条件により、父母、後見人、親族会)に優生手術の同意を得て、

 ・地方長官へ優生手術の申請を出す。

 ・地方長官はそれを受理した場合、地方優生審議会へ意見を諮問し、

 ・意見の答申を受けて「決定」する。

 ・地方長官は「決定」を同意者(本人と配偶者等)に通知する。

 ・「決定」に不服の時は厚生大臣に申し立てる

 ・厚生大臣は申立てを受理した場合、中央優生審議会又は地方優生審議会に意見を諮問し、

 ・意見の答申を受けて厚生大臣は却下又は「決定」の取消しを「決定」する。

 ・優生手術の実施が決定・確定した時は、法定の医師が法定の場で行う。

 ・法定の医師は経過を地方長官へ報告する。

 

2.「優生保護法」 昭和23年7月制定、昭和24年6月施行 (占領国の命令で作られた)

 

[優生手術]

 国民優生法の遺伝性疾患に対する優生手術の手続き、同意の厳密さを甘くし、さらに対象の条件に「母性保護」事項追加しものだが、ほぼ国民優生法を継承したような形にしている。

 

[優生保護審査会]

 優生手術に対する審査会であり、母性保護に関する審査会は無い。

 母性保護に関する人工妊娠中絶可否の決定は指定医師のみの判断でできる。

 

[母性保護] 法律の条文

第十四条 指定医師が本人及び配偶者の同意を得て人工妊娠中絶を実施できる。

 第四号 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそ

     れのあるもの。

 第五号 暴行若しくは脅迫によって又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫され

     て妊娠したもの

第二項 同意は配偶者が知れない時は本人の同意のみで足りる

 

○考察

 優生保護法は、国民優生法を継承しているような形を取って改竄され、GHQの狙いの主眼の

「母性保護」すなわち、母性が保護され、安楽な生活が生涯に亘って保護されるためには、出来た胎児は抹殺してもかまわない、とする人後に反する論理が追加された法律である。

 

「同意」という言葉が、真逆の意味で使われている。

・国民優生法では、「同意」は精神病院の長等が、悪質な遺伝性疾患を防遏するために、対象の

 女性に優生手術(不妊、中絶)をする事を書面を以て本人及び配偶者等に同意を得る事を

 「同意」と言っている。

 

・優生保護法では、指定医に中絶したいと来院している婦人本人に対して、指定医が「身体的理

 由」又は「経済的理由」があるので中絶を認めて下さいと「同意」をその婦人本人(本人のみ

 で可)に求める書面になっており、完全な論理矛盾のザル法の「同意」となっいてる。






○優生保護法の改竄は、GHQに次の一石三鳥の目的で強制されました。

 @米兵の暴行により妊娠させたものを合法的に中絶させ、無かった事にさせる。

 A安易な中絶が可能となり、日本人の性道徳観念を破壊させる。

 B日本の人口を減じさせ、少子化、人口矮小化による日本弱体化を促進する。

  (合法的に日本民族抹殺、ジェノサイドを実現させる)

 

 優生保護法制定による出生数の変化

  S21  250万人

  S22  270万

  S23  270万

  S24  270万            6月 優生保護法施行

  S25  230万

  S26  210万

  S27  200万

  S28  190万

 

 人工妊娠中絶数

  S30当時 届出数100万人 闇を含めた実数は300万人と言われていた。

 

  H19   届出数 26万人 闇を含めた実数は75万人〜100万人と言われている。

  今までの累計中絶数は1億2千万人と言われている。

 

 

3.「母体保護法」 平成8年6月制定 即 施行

 

 母体保護法は、障害者団体から「優生保護法の『優生手術』条項は障害者の人権侵害、障害者抹殺の物だからその条項を削除してもらいたい」と、改正を求める強く働きかけがあり、改正の検討に入った。

 この時、優生保護法の『母性保護』についても、人間の生命抹殺だから中絶の条件を厳しくする様に検討しようとしたが、社民党やジェンダーフリーを叫ぶ女性団体が強烈に反対した。曰く「生む生まないは女性の権利」とか、「女性の生涯に亘る性と生殖に関する健康を保持」(これらはマルクス主義過激派グループの巣窟である国連女性会議の主張や、その指示を受けて日本で成立させた男女共同参画基本法の考え方と同じである)を強く言い張った。

 その結果、優生保護法から、国民優生法から残っていた悪性遺伝に対する『優生手術』とその承認手続きの条文は、カミソリで削った様に削除され、『不妊手術』と『母性保護』の条項のみが残った。しかも、条文は簡略化され中絶ができるだけ容易にできる様に改定されている。これは「胎児虐殺法」と言っても良いものである。

 

                                 以上




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